お金と電子マネーとはどこが違うか??
ポイントサービスは『お金』とかなり違うものだというのを見てきましたが、もう一つ電子マネーと呼ばれるものがあります。
こちらは、『マネー』とついているように、『お金』にかなり近いものになっています。
電子マネーは、ポイントサービスと違って、利用するときは電子マネーを購入してチ
ャージします(一部、クレジットカード機能と組み合わされて後払いのものもありま
す)。電子マネーを使うと、チャージした金額から引かれていき、0円になるまで使う
ことができます。
金額は、繰り返しチャージすることが可能で、財布のように使うことができます。携帯電話には『おさいふケータイ』として機能が搭載されています。このように、電子マネーは、お金を一旦、預けて必要に応じて引き出すといったサービスです。
少額の買い物に使うことが多く、消費者としては小銭を持ち歩かなくていい、レジ
での支払いが簡単といったメリットがあります。しかも、クレジットカードのような年会費などもなく、審査もありません。
どちらかというと、銀行口座を作るのに似ています。チャージするために手数料などもなく、1000円チャージすれば1000円使うことができ、端数でも利用できます。
490円の弁当を買うのに、400円しかチャージがなくても、それを使い切って、90円は現金で支払うといったこともできます。まさに、財布に入ったお金と同じように使えます。
ポイントサービスではできなかった他の人へ渡すことも可能です。楽天Edyでは、お
さいふケータイに限定されますが、他の人のおさいふケータイに楽天Edyを送るEdy
To Edyが利用できます(ただし、1%の手数料が発生します)。
金額によっては振込手数料より安くなるので、オークションの落札価格をEdyで支払うといったことが考えられます。
では、電子マネーを利用できる加盟店からみると、どのようになっているのでしょう
か。
まず、Edyは、元々はビットワレット株式会社で運営していましたが、2010年に楽
天が資本出資したことで楽天傘下に入り、さらに、2012年6月には楽天Edy株式
会社に社名変更しました。面白いのは、全体の運営を行う楽天Edy株式会社
と、カードを発行する企業、カードへのチャージや店舗への清算を行う入手金管
理企業、そして加盟店の4種類の企業で構成されています。
楽天Edy株式会社と加盟店は説明するまでもないでしょうが、カード発行企業
(カードイシュアと呼びます)と入出金管理企業(バリューイシュアと呼びます)が分か
れていることは、少々、説明が必要です。
まず、カード発行企業は、楽天Edyの機能のついたカードを発行する企業でクレ
ジットカード会社だけでなく、社員証や学生証に楽天Edyの機能を持たせている
ところもあります。
『お金』のやりとりを行うのは、楽天Edy株式会社の他、三井住友銀行や東京三
菱UFJ銀行、ユーシーカード、ソニーファイナンスインターナショナルなど金融関係
の会社が行っています。
なぜこんな複雑な形になっているのかというと、チャージや清算は、お金を預かる業
務になるので、法律上、資金決済法(平成22年以前は前払式等証票規制法)によって登録した企業しか業務に関われないことになっています。
そのため、カード発行会社と入出金を扱う会社を分けた方が広く使われるようになるのです。だからこそ、先に紹介したような学生証や社員証に楽天Edyの機能を追加することが可能となります。
気になる加盟店の手数料ですが、初期の楽天Edyカードのリーダーなどの機器の
導入や、楽天Edyでの支払いでの手数料になります。
金額の2~4%程度と言われていますが、公開していないので実際はどれぐらいかかるのかはよくわかりません。
楽天Edyのような電子マネーは、審査や年齢制限もないので、おさいふケータイや
スマホなどでも使えることから、高校生や大学生の利用を呼び込むことができま
す。特に楽天Edyでは、楽天ポイントが貯まるので20代~30代を中心とした集客
ツールとしても使えるでしょう。
さて、電子マネーですが、消費者側からするとポイントサービスと似ているようで、
実はまったく違う運営がなされています。そして、『マネー』とはついていますが、チャージする必要があり、チャージした1円は1円として利用するだけなので電子財布と
いうのが正しい認識でしょう。
レートが変動するようなことはなく、だからこそ、『仮想通貨』と呼ばれることはありません。
また、サービス業者の経営が悪化して、チャージした金額が使えなくなるといったこ
とが起きないように、残高総額の半分以上の保証金を供託することが資金決済法で義務化されています。
電子マネーは、ポイントサービスと同じく、いつどこでいくら利用したのかは記録さ
れ、各種マーケティングデータとして利用されます。Suicaのデータをマーケティングデータとして販売したことがニュースになったのは記憶に新しいところです。
では、ここで、電子マネーについて簡単にまとめておきましょう。
電子マネー
・運営会社による電子財布サービス
・『お金』をチャージして、チャージした金額だけ利用できる
・他の人へチャージした金額を渡すことができる
・電子マネーを利用すると購入履歴のデータが運営会社に記録される
電子マネーは、ポイントサービスと違い、資金決済法に基づいて運用されるという
点も大きな違いです。