気ままな暮らし

お金に関すること、世の中に関すること

ビットコインで世界が激変していく①


ビットコインが急騰した大きな原因の一つとして、避けて通れないニュースは、2013
年3月に起きたキプロス金融危機です。


国家財政が破たんしそうになっていたキプロスは、EU傘下でもあるので欧州連合
から金融支援を受けることになります。ただ、その時の条件として、財政再建計画
を提示し、それを実行することが条件でした。

 

キプロスは、ロシアのお金持ちが預金する『秘密金庫』になっているのですが、財政再建のために預金封鎖し、さらに預金額が多い人は強制的に税金をかけることを発表しました。

キプロスの銀行に預金していた人たちは慌てて、どのようにして現金を持つのか考
えました。少額なら、持っていてもいいでしょうが、大金を預けていた人ほど、どこに
保管するのかに困ります。そこでにわかに注目されるようになったのがビットコイン
した。

預金をビットコインに替えてしまえば、預金封鎖されることもなく、キプロス
府は通貨と考えていないので課税対象にもならず、しかも国外にも自由に持ち出
すことができる理想の『お金』です。

あっという間にクチコミで広がり、こぞってビットコインに替える人たちが続出しました。その結果、ビットコインが急騰することになったのです。


2013年1月1日に1BTC(ビットコイン)が13ドルだったのが、3月中旬から50ドル近く
になり、わずか半月後には倍の100ドルを突破して、それ以降は7月ぐらいまで100
ドル前後で推移するようになります。

 

これは、明らかにキプロス金融危機ビットコインに逃げたお金によって、押し上げられたのです。キプロス金融危機から注目されるようになったビットコインは、さらに地球を巡り、中国へ飛び火します。
なぜ中国でビットコインに人気が出てくるのか不思議に思うかもしれませんが、中
国の特殊な事情を考えると納得できます。


まず、中国では共産主義国であり、基本的に個人資産が大きくなることが何かと
制限されています。特に、不動産に関しては、土地はすべて中国政府のものであ
り、70年間の借地権を購入することしかできません。つまり、土地を購入して相続
することなどできないようになっているのです。

ただ、海外の不動産を購入することは禁じられていません。そういうこともあって、
日本の不動産を購入する中国人がいるのです。余談ですが、日本の不動産は
中国人にとってそれほど大きな魅力があるものではないそうです。

香港やオーストラリア、韓国の不動産の方に人気があります。これらの国では、一定の不動産を所有すると永住権が得られるので、中国の富裕層にとっては、大きな魅力になっています。

不動産だけでなく、他にも複雑な事情を抱えています。ご存知のように中国は単
一国ではなく、いろいろな民族の集まった状態になっています。移民の人たちも多
く、当局からの圧力から逃れるために国内をあっちこっちに移動して生活している
人たちもいます。

こういう人たちにとっては、『元』という通貨で持つよりも『金
(GOLD)』で持っている方がいつでも海外へ移動できるので安全になってきます。


経済が急変している中国では、政府も自由に海外に現金が流出していくことを
見ているわけではありません。いろいろな制限をつけていて、銀行口座の送金など
もこまかく管理しつつあります。

そんな中、ビットコインというインターネットを経由すれば自由に海外に持ち出すこと
ができる仮想通貨があることが中国でも知られるようになりました。規制から逃れ
られると、どんどんビットコインへ切り替える人たちが出てきました。

これに拍車をかけるように、中国の検索サイト百度(バイドゥ)がビットコインでの決済を取り扱うようになると、一気に多くの人が知るようになり、さらにビットコインのレートが上昇しました。

10月1日には、1BTCが141ドルだったのが、11月29日には最高値で1224ドル
まで押し上げられます。そして、世界中のビットコインの3分の1が中国で取引され
るようになります。

しかし、中国政府も『抜け穴』を黙って見ているわけではありません。2013年12月
には、ビットコインでの商取引を禁止することを決めました。その途端に、ビットコイ
ンのレートは暴落し、12月22日の最安値では636ドルにまで落ち込みました。約
半分にまで落ち込んだのですが、世界でのビットコインの人気は、それを吸収し、
(2014年1月)は900ドルから1000ドル程度で推移しています。

(つづく)