気ままな暮らし

お金に関すること、世の中に関すること

お金とTポイントの違い


『お金』というものが、どんな特徴を持っているのか、だんだんと分かってきたかと思
います。では、ここからは、『お金』に関する質問の2つ目「Tポイントや楽天ポイント
とお金は何が違うのでしょうか?」について考えてみましょう。


Tポイントや楽天ポイントは、加盟店で買い物をすると一定の割合でポイントが入
るようになっていて、そのポイントを1ポイント=1円として利用することができます。ネット上のオンラインショップだけでなく、コンビニなどの店舗でもカードを提示して貯めたり、使ったりできます。

ポイントが入ってくるところに目をつぶって使うところだけを考えると、1ポイントが1円として使えるのであれば『お金』と変わらないように思えます。でも、何かしっくりこないですよね。

まず、ポイントがなぜ商品と交換できるのかを考えてみましょう。Tポイントの使える
代表的なコンビニ「ファミリーマート」に行ってペットボトルのお茶を買うことを考えてください。

Tポイントが貯まっていたので、全額Tポイントで支払ったとします。ファミリーマートのレジにはTポイントが貯まるのですが、極端な話、Tポイントばかりで買い
物するお客さんだけになってしまうと、レジには現金が入らずTポイントばかりになっ
てしまいます。

まさか、伊藤園サントリー仕入れ代金をTポイントで支払うことなどありません。レジに貯まったTポイントは運営会社から1ポイント1円で還元されるようになっています。
このように見ると、消費者というよりも、店舗にとって『お金』に近いものになっています。ただ、このTポイントを利用するには、お店側には提携時に5万5千円、月々
7500円、そして、Tポイント関与売上の3%がかかります。月々の支払が必要なの
は、『お金』とはかなり性質が違いますよね。


余談ですが、お店でTポイントを利用するとなると、初年度14万5千円、翌年以
降は年間9万円、そして、Tポイントを提示しての売上の3%が経費として掛かりま
す。

この費用を宣伝広告費として投資できるか判断が必要です。後は、見えない
コストとして、Tポイントの操作を覚える(あるいは社員に覚えさせる)コスト、お客さ
んからのTポイントに関する質問に対する対応コスト、機器類のトラブル対応のコ
ストを見込んでいなければならないでしょう。

簡単に言えば、客層がポイントカードを使うことに抵抗のない、カードを提示してポイントを貯めることに敏感な20代から40代が多くなければ、集客やリピーターといった効果が見込めないと思います。

話を戻して、Tポイントのようなポイントサービスは、ここで見たように『運営会社』が存在すること、利用できる店舗は運営会社に何らかの支払をしているということは
覚えておいてください。

では、消費者側から見るとTポイントはどのようなものになるのでしょうか。
まず、Tポイントは、使わないからといって損するわけではありません。

どちらかというと、『あ、ポイントが貯まっているから、ついでにアイスでも買おう!』って利用することが多いのではないでしょうか(もっとも、こういう心理がお店側からすると売上に貢献してくれるのですが)。

当然ながら、どのお店でも使えるのではなく、提携しているお店でしか使えない、
あるいは、指定された商品にしか使えないという制限があります。

例えばTポイントでは、公共料金の支払いや切手・ハガキなどの購入には原則使えません(原則というのは、Yahoo!サービスのように、公金支払にTポイントを利用できるものもあります)。

そして、運営会社がサービスを停止する、倒産すると、ポイントが全て無効になっ
てしまいます。ポイントが無効になるというと、何か損をするように感じますが、先に
書いたように、損しているのではなく、割引クーポンを使わなかったのと同じ状態に
なります。

とはいえ、『せっかく貯めたのに!』っていう気持ちは分かります。企業側か
らすると割引クーポンのようなサービスという気持ちなのですが、消費者側は『お
金』のように考えているので、このギャップからしばしばトラブルを引き起こしています(特に、サービスを廃止するときに揉めます)。


細かい話をすれば、お店が支払う運営会社への費用は売上から支払われている
ので、その分、個々の商品の価格に上乗せされています。なので、ポイントを利用
しないのは『損』かもしれません。ただ、多くの人たちが見逃してしまっているのです
が、ポイントを利用すると、いつどこで何を購入したのかといったデータを提供してい
ます。

ポイントサービス運営会社は、そのようなデータを収集し、ビッグデータとして
マーケティングに活用しています。ちょっと嫌な話をしますが、衣料品店で買い物を
して、Tポイントがたくさん付いたと喜んでいると、あなたの衣服のサイズまで運営会
社には知られていることになるのです。
このようにポイントサービスというのは、『お金』というよりも、割引クーポンと似たようなものだということが分かると思います。そして、個別の店舗でクーポンを発行しているのではなく、クーポンの運営会社があって、共通で使える割引クーポンを発行
しているような状況です。


割引クーポンのようなものということで気が付くかもしれませんが、ポイントサービス
では、ポイントを購入したり、換金したりすることはできないのが一般的です。

他人に譲渡することも禁じているポイントサービスも多いです。このように、『お金』と呼ぶには、あまりにも制限が多いことに気が付くでしょう。オマケとしてついてくる特典ということです。

割引クーポンのようなもので、指定された商品やサービスでしか使えないですし、現金に交換することや、ポイントを購入することもできません。

ポイントサービスは企業が運営している割引クーポンのようなものだというのが理解
できたかと思います。

ちなみに、日本の法律では、ポイントサービスをどのように扱っていいのか明確にな
っていません。法的な整備が進む前に、小さなお店でスタンプを押すようなサービ
スから、Tポイントのような大きなサービスまで広がっているので、法律を整備するの
は難しくなっています。

どうして「お金」というものが存在しているのか??

ビットコインが世界で加熱しているという状況は理解していただいたと思うのです
が、なぜ、これほどまでに多くの人が注目しているのでしょうか。仮想通貨と呼ばれ
るものは、他にもたくさんあるのにビットコインだけに集中する理由は、どこにあるの
でしょうか。


それを理解するためには、財布の中に入っている『お金』のことを理解しておく必要
があります。そんなことを書くと、「おいおい、バカにするなよ。子供だって、お金が何か知っているぞ!」と言いたくなるかもしれません。

元々、経済活動は、物々交換から始まっています。今更説明することもないでし
ょうが、カボチャが沢山とれた人が、山でイノシシを獲ってきた人と交換する、お米
をもらって畑を耕すのを手伝うといったことが物々交換です。


物々交換は、非常にシンプルな方法なのですが、困ったことにお互いに欲しいもの
が一致しないと交換できません。カボチャとイノシシの肉を交換したくても、イノシシ
の肉を持っている人がカボチャ嫌いなら交換してくれません。

イノシシを獲る側にしても、3頭も4頭も獲っても、交換してくれる人を見つける前に腐らせてしまうかもしれません。


これではあまりにも不便なので、先に渡しておいて『貸し』を作り、必要になれば、
『返済』してもらうということで、時間差のある物々交換を行うようになりました。た
だ、これは、ある程度の少人数でのコミュニティでは成り立つのですが、人数が多く
なり、コミュニティに出入りする人が多くなってくると、困ったことになってきます。

覚えておくこともできないですし、帳面などに記録するにしても、相手が遠くへ引っ越すと意味がなくなります。


そこで、誰もが交換したいと思う物に交換することを考えます。ただ、この『誰もが
交換したいと思う物』を探すのは簡単ではありません。


まず、腐ったり、錆びたり、溶けたりしない『変化しないもの』である必要がありま
す。しかも、1年や2年でなく、何十年も何百年も変わらない物である必要があり
ます。
次に、『分けることが可能』なことが求められます。例えば、ダイヤモンドとカボチャを交換しようとしても、ダイヤモンド1個の価値に相当するカボチャの量はとんでもなく多い量になってしまいます。かといって固いダイヤモンドを割ってカボチャ1個分と同じ価値にするなどできません。

そして、忘れてはいけないのは、交換する物は、『希少価値』があることが必要に
なります。簡単に作ることができたり、どこにでもあってすぐに手に入ったりするといった状態では、社会が崩壊します。

カボチャを作ったり、イノシシを追いかけたりするよりも、手に入れるのが難しいものである必要があります。

このような理由から、『金(GOLD)』や『銀』といったものが、『お金』として機能するようになったのです。金や銀は、化学変化せずに安定して存在し、小さく分割する
こともできますし、逆に溶かして大きな塊にすることもできます。

そして、他の金属を原料にして作りだすこともできず、数少ない鉱脈を探して、採掘しなければ手に入りません。中世では、そんな貴重な金属を作りだそうとした錬金術が化学として発展しました。時代劇で、小判や一分銀といった通貨が出てくるのは、このようなお金の歴史の中で登場してきたものなのです。


時代が進み、金や銀の塊をやりとりするのは、なかなか面倒になってきました。大
きな金額になってくると、千両箱を持ち歩くのも大変です。また、偽小判も出てくる
ようになると、貨幣制度そのものがおかしくなっていきます。

そこで、国が管理する『お金』を発行するようになります。基本になる金(GOLD)を
国が管理し、『金と交換できる券』を発行するようになったのです。これが、今の
『お金』の始まりです。

日本では、明治政府が紙幣を発行するようになりました。この紙幣は、兌換紙幣(だかんしへい)と言われるもので、国が管理する同じ価値の金と交換できました。実際に、紙幣には『等価の金と交換可能』と明記されていました。

 

世界的にも同じように紙幣が流通するのですが、経済が発展していくと、どの国も
発行する紙幣に応じた金を確保するのが難しくなってきます。金の採掘はそんな
簡単にできるものではないので、金本位体制を維持することができなくなってきま
した。そして、ついに起きたのが1971年のニクソンショックです。

当時の大統領ニクソンは、ドル紙幣と金の交換を一時停止するということを発表しました。これにより、金と交換できるドル紙幣の意味が変わってしまったことで、基
軸通貨のドルは世界経済に大きな影響を与えました。

金と交換できるということで、為替レートも固定相場だったものが、次々と変動相場に代わり、現在のように為替レートが時々刻々と変化するような世界経済になったのです。

この意味は、金(GOLD)という変化しない希少価値のある物と交換するということ
が保証されていた『お金』から、価値のあるものだと信じることで価値が生まれる
『お金』に変化したことにあります。

ただの紙切れが、誰もが交換に応じるということを信用することによって『お金』として使えるようになったのです。

今では為替レートの変動で儲けるということが当たり前のようにありますが、変動
相場がたった40年ほどの歴史しかないというのも驚きです。金本位制が続いてい
れば、FXなんて金融商品は存在すらしないのですからね。

ちょっと長くなりましたが、『お金』が世の中に登場し、なくてはならないものになってきたことが分かったかと思います。ここでのポイントを簡単にまとめておきましょう。

・『お金』は、物々交換では不便なので、誰もが交換するという信頼のもとで生
まれた。
・『お金』になるモノは、次のような特徴を持つ。
- 化学変化にたいして強い(腐ったり、錆びたり、溶けたりしない)
- 分割可能である(小さな塊や大きな塊にできる)
- 希少性がある(簡単に手に入るものではない。簡単に作りだせない)
・『金(GOLD)』に交換できる券として紙幣が生まれたが、経済発展とともに金
本位制が崩れ、今は政府の信頼をベースに紙幣が発行されている。

特に最後の今の『お金』は、『信頼』によって成り立っているということは、ビットコインを理解する上で重要なことです。

(つづく)

 

ビットコインで世界が激変していく②

ビットコインが世界で広がっていくのに重要なニュースを見てみましたが、他の国々
もいろいろと動き出しています。


アメリカでは、司法局が合法的な取引に利用される可能性があるということを認
めたり、ドラッグ取引などのアンダーグラウンドでの取引を取り締まるといったことか
ら、ビットコインが通常の通貨として使われる可能性が高くなるという認識が広まっ
てきています(この原稿を書いている途中に、ビットコインに関する公聴会も開かれ
ました。規制するというより、新しい通貨のルール化をしていくといった内容になって
います)。

一方、ノルウェーは、通貨としては認めず、資産扱いでの課税を考えています。つ
まり、通貨ではないけど、資産価値はあると認めたことになります。


インドは中国と同じようにビットコインでの取引所を犯罪に利用される可能性があ
るとして、閉鎖させました。


このように、経済活動への影響が出てきていることから、禁止したり、黙認したり、
税制を整えたりと、対応はバラバラです。


日本は、ようやく調査を開始したという状態で、日銀の黒田総裁は『関心を持っ
ているが調べている状態』とコメントするに留まっています。

また、2014年1月16日には、全国銀行協会の國部毅会長が、「銀行システムを
介さない決済手段として注目している。投資対象としての側面もあって、世界的
に利用が拡大している」、「利用者の保護などの観点から法令上の位置づけを明確化し、適切な規制の在り方を検討する必要があるのではないか」と記者会見で述べました。


このように日本では、まだまだという感がありますが、世界では無視することができ
ない存在になっているのがビットコインなのです。

 

 

ビットコインで世界が激変していく①


ビットコインが急騰した大きな原因の一つとして、避けて通れないニュースは、2013
年3月に起きたキプロス金融危機です。


国家財政が破たんしそうになっていたキプロスは、EU傘下でもあるので欧州連合
から金融支援を受けることになります。ただ、その時の条件として、財政再建計画
を提示し、それを実行することが条件でした。

 

キプロスは、ロシアのお金持ちが預金する『秘密金庫』になっているのですが、財政再建のために預金封鎖し、さらに預金額が多い人は強制的に税金をかけることを発表しました。

キプロスの銀行に預金していた人たちは慌てて、どのようにして現金を持つのか考
えました。少額なら、持っていてもいいでしょうが、大金を預けていた人ほど、どこに
保管するのかに困ります。そこでにわかに注目されるようになったのがビットコイン
した。

預金をビットコインに替えてしまえば、預金封鎖されることもなく、キプロス
府は通貨と考えていないので課税対象にもならず、しかも国外にも自由に持ち出
すことができる理想の『お金』です。

あっという間にクチコミで広がり、こぞってビットコインに替える人たちが続出しました。その結果、ビットコインが急騰することになったのです。


2013年1月1日に1BTC(ビットコイン)が13ドルだったのが、3月中旬から50ドル近く
になり、わずか半月後には倍の100ドルを突破して、それ以降は7月ぐらいまで100
ドル前後で推移するようになります。

 

これは、明らかにキプロス金融危機ビットコインに逃げたお金によって、押し上げられたのです。キプロス金融危機から注目されるようになったビットコインは、さらに地球を巡り、中国へ飛び火します。
なぜ中国でビットコインに人気が出てくるのか不思議に思うかもしれませんが、中
国の特殊な事情を考えると納得できます。


まず、中国では共産主義国であり、基本的に個人資産が大きくなることが何かと
制限されています。特に、不動産に関しては、土地はすべて中国政府のものであ
り、70年間の借地権を購入することしかできません。つまり、土地を購入して相続
することなどできないようになっているのです。

ただ、海外の不動産を購入することは禁じられていません。そういうこともあって、
日本の不動産を購入する中国人がいるのです。余談ですが、日本の不動産は
中国人にとってそれほど大きな魅力があるものではないそうです。

香港やオーストラリア、韓国の不動産の方に人気があります。これらの国では、一定の不動産を所有すると永住権が得られるので、中国の富裕層にとっては、大きな魅力になっています。

不動産だけでなく、他にも複雑な事情を抱えています。ご存知のように中国は単
一国ではなく、いろいろな民族の集まった状態になっています。移民の人たちも多
く、当局からの圧力から逃れるために国内をあっちこっちに移動して生活している
人たちもいます。

こういう人たちにとっては、『元』という通貨で持つよりも『金
(GOLD)』で持っている方がいつでも海外へ移動できるので安全になってきます。


経済が急変している中国では、政府も自由に海外に現金が流出していくことを
見ているわけではありません。いろいろな制限をつけていて、銀行口座の送金など
もこまかく管理しつつあります。

そんな中、ビットコインというインターネットを経由すれば自由に海外に持ち出すこと
ができる仮想通貨があることが中国でも知られるようになりました。規制から逃れ
られると、どんどんビットコインへ切り替える人たちが出てきました。

これに拍車をかけるように、中国の検索サイト百度(バイドゥ)がビットコインでの決済を取り扱うようになると、一気に多くの人が知るようになり、さらにビットコインのレートが上昇しました。

10月1日には、1BTCが141ドルだったのが、11月29日には最高値で1224ドル
まで押し上げられます。そして、世界中のビットコインの3分の1が中国で取引され
るようになります。

しかし、中国政府も『抜け穴』を黙って見ているわけではありません。2013年12月
には、ビットコインでの商取引を禁止することを決めました。その途端に、ビットコイ
ンのレートは暴落し、12月22日の最安値では636ドルにまで落ち込みました。約
半分にまで落ち込んだのですが、世界でのビットコインの人気は、それを吸収し、
(2014年1月)は900ドルから1000ドル程度で推移しています。

(つづく)