気ままな暮らし

お金に関すること、世の中に関すること

どうして「お金」というものが存在しているのか??

ビットコインが世界で加熱しているという状況は理解していただいたと思うのです
が、なぜ、これほどまでに多くの人が注目しているのでしょうか。仮想通貨と呼ばれ
るものは、他にもたくさんあるのにビットコインだけに集中する理由は、どこにあるの
でしょうか。


それを理解するためには、財布の中に入っている『お金』のことを理解しておく必要
があります。そんなことを書くと、「おいおい、バカにするなよ。子供だって、お金が何か知っているぞ!」と言いたくなるかもしれません。

元々、経済活動は、物々交換から始まっています。今更説明することもないでし
ょうが、カボチャが沢山とれた人が、山でイノシシを獲ってきた人と交換する、お米
をもらって畑を耕すのを手伝うといったことが物々交換です。


物々交換は、非常にシンプルな方法なのですが、困ったことにお互いに欲しいもの
が一致しないと交換できません。カボチャとイノシシの肉を交換したくても、イノシシ
の肉を持っている人がカボチャ嫌いなら交換してくれません。

イノシシを獲る側にしても、3頭も4頭も獲っても、交換してくれる人を見つける前に腐らせてしまうかもしれません。


これではあまりにも不便なので、先に渡しておいて『貸し』を作り、必要になれば、
『返済』してもらうということで、時間差のある物々交換を行うようになりました。た
だ、これは、ある程度の少人数でのコミュニティでは成り立つのですが、人数が多く
なり、コミュニティに出入りする人が多くなってくると、困ったことになってきます。

覚えておくこともできないですし、帳面などに記録するにしても、相手が遠くへ引っ越すと意味がなくなります。


そこで、誰もが交換したいと思う物に交換することを考えます。ただ、この『誰もが
交換したいと思う物』を探すのは簡単ではありません。


まず、腐ったり、錆びたり、溶けたりしない『変化しないもの』である必要がありま
す。しかも、1年や2年でなく、何十年も何百年も変わらない物である必要があり
ます。
次に、『分けることが可能』なことが求められます。例えば、ダイヤモンドとカボチャを交換しようとしても、ダイヤモンド1個の価値に相当するカボチャの量はとんでもなく多い量になってしまいます。かといって固いダイヤモンドを割ってカボチャ1個分と同じ価値にするなどできません。

そして、忘れてはいけないのは、交換する物は、『希少価値』があることが必要に
なります。簡単に作ることができたり、どこにでもあってすぐに手に入ったりするといった状態では、社会が崩壊します。

カボチャを作ったり、イノシシを追いかけたりするよりも、手に入れるのが難しいものである必要があります。

このような理由から、『金(GOLD)』や『銀』といったものが、『お金』として機能するようになったのです。金や銀は、化学変化せずに安定して存在し、小さく分割する
こともできますし、逆に溶かして大きな塊にすることもできます。

そして、他の金属を原料にして作りだすこともできず、数少ない鉱脈を探して、採掘しなければ手に入りません。中世では、そんな貴重な金属を作りだそうとした錬金術が化学として発展しました。時代劇で、小判や一分銀といった通貨が出てくるのは、このようなお金の歴史の中で登場してきたものなのです。


時代が進み、金や銀の塊をやりとりするのは、なかなか面倒になってきました。大
きな金額になってくると、千両箱を持ち歩くのも大変です。また、偽小判も出てくる
ようになると、貨幣制度そのものがおかしくなっていきます。

そこで、国が管理する『お金』を発行するようになります。基本になる金(GOLD)を
国が管理し、『金と交換できる券』を発行するようになったのです。これが、今の
『お金』の始まりです。

日本では、明治政府が紙幣を発行するようになりました。この紙幣は、兌換紙幣(だかんしへい)と言われるもので、国が管理する同じ価値の金と交換できました。実際に、紙幣には『等価の金と交換可能』と明記されていました。

 

世界的にも同じように紙幣が流通するのですが、経済が発展していくと、どの国も
発行する紙幣に応じた金を確保するのが難しくなってきます。金の採掘はそんな
簡単にできるものではないので、金本位体制を維持することができなくなってきま
した。そして、ついに起きたのが1971年のニクソンショックです。

当時の大統領ニクソンは、ドル紙幣と金の交換を一時停止するということを発表しました。これにより、金と交換できるドル紙幣の意味が変わってしまったことで、基
軸通貨のドルは世界経済に大きな影響を与えました。

金と交換できるということで、為替レートも固定相場だったものが、次々と変動相場に代わり、現在のように為替レートが時々刻々と変化するような世界経済になったのです。

この意味は、金(GOLD)という変化しない希少価値のある物と交換するということ
が保証されていた『お金』から、価値のあるものだと信じることで価値が生まれる
『お金』に変化したことにあります。

ただの紙切れが、誰もが交換に応じるということを信用することによって『お金』として使えるようになったのです。

今では為替レートの変動で儲けるということが当たり前のようにありますが、変動
相場がたった40年ほどの歴史しかないというのも驚きです。金本位制が続いてい
れば、FXなんて金融商品は存在すらしないのですからね。

ちょっと長くなりましたが、『お金』が世の中に登場し、なくてはならないものになってきたことが分かったかと思います。ここでのポイントを簡単にまとめておきましょう。

・『お金』は、物々交換では不便なので、誰もが交換するという信頼のもとで生
まれた。
・『お金』になるモノは、次のような特徴を持つ。
- 化学変化にたいして強い(腐ったり、錆びたり、溶けたりしない)
- 分割可能である(小さな塊や大きな塊にできる)
- 希少性がある(簡単に手に入るものではない。簡単に作りだせない)
・『金(GOLD)』に交換できる券として紙幣が生まれたが、経済発展とともに金
本位制が崩れ、今は政府の信頼をベースに紙幣が発行されている。

特に最後の今の『お金』は、『信頼』によって成り立っているということは、ビットコインを理解する上で重要なことです。

(つづく)